2025/06/01

ソフトウェア開発者のための究極のエルゴノミクス環境構築ガイド

毎日の肩こりと手首の痛み、実は解決できます

ソフトウェアエンジニアの皆さん、長時間のコーディングで肩や首が痛くなることがありませんか?弊社beekeeb.jpの開発チームも、まさにその悩みからエルゴノミックキーボード作りを始めました。エルゴノミクスとは人間の身体に合わせて道具を設計するという考え方。エルゴノミックキーボードとは、左右を自然な幅に配置したり、指の長さに合わせたキー配置を採用したりしたキーボードのことです。

日本のIT業界でも、手首や肩の不調を抱えるソフトウェアエンジニアは4人に1人と言われています。毎日8時間以上コードを書く開発者にとって、キーボードに限らずエルゴノミクス環境の整備は贅沢品ではなく、キャリアを長く続けていくための必須投資。適切なエルゴノミクス投資をすることで、健康面でも生産性面でもメンタル面でも、大きなリターンが期待できます。

今回はデスク周りのエルゴノミックアイテムをご紹介していきます。

モニターアームで首と肩の負担を激減:Ergotron LX

長時間ディスプレイを見続けていると、つい猫背になり画面に顔を近づけてしまいがちです。人間の頭は5kg程度と想像以上に重く、この姿勢が首や肩の痛みの大きな原因になっています。

Ergotron LXモニターアームは、そんな悩みを解決してくれる優れもの。34インチの大型モニターまで対応でき、画面の高さや角度を自在に調整できます。特にエンジニアにとって嬉しいのは、ペアプログラミングの時に画面をサッと相手の方に向けられたり、姿勢を変えたいときに画面の角度や高さを瞬時に簡単に調整できることです。

価格は2万円~と決して安くはありませんが、一度買うと壊れるものでもありませんし、肩こりで整体に通うことを考えればすぐに元は取れます。モニター台が不要になりデスクスペースも広くなるので、資料を置くスペースも確保できて一石二鳥です。もちろんErgotron以外にもモニターアームはたくさんありますが、安いものだとモニターが下がってきたりうく調整できなかったりと何かとストレスを抱えがち。自分への投資として、老舗のErgotronをオススメします。

オフィスワークを変える座り心地:Herman Miller エンボディチェア

誰もが最初はHerman Miller エンボディチェアの値段に驚くはず。ただ、筆者も実際に座ってみると「これは投資だ」と確信しました。

Herman Miller エンボディチェアの最大の特徴は、椅子全体の動的なピクセル構造が身体にフィットし、体重を均等に分散してくれるため、長時間座っていても疲れにくいことです。ソフトウェアエンジニアの場合、複雑なバグの解決で何時間も集中する必要がある時、普通の椅子だと途中で姿勢が崩れて集中力が途切れてしまいがち。しかしHerman Miller エンボディチェアなら、背中や座面のサポートが体の微細な動きに合わせて調整されるので、自然な姿勢を維持できます。

気になるお値段は約25-30万円前後と大変高額ですが、12年保証がついています。年間250日、12年間使うと仮定すると、1日あたり約100円の計算。コーヒー1杯よりも安い投資です。

ただし、どんなに高給な椅子でも結局は一人ひとりに合う合わないがあるのも事実です。購入を検討する際はしっかりお店で座り心地を確かめるのを忘れずに。座った直後の感覚だけでは分からないこともあるので、できれば1-2時間座り続けてみてください。

トラックボールで手首を守る:ロジクール MX ERGO S / M575 S

マウスの操作で手首が痛くなる経験はありませんか?特に細かいUI調整や長時間のデバッグ作業では、マウスを動かし続けることで手首に大きな負担がかかります。

そこでおすすめしたいのがトラックボールです。MX ERGO(約15,000円)は角度調整機能があり、手首を自然な角度に保てます。カスタムボタンも付いているので、よく使うショートカットを割り当てることで作業効率もアップします。

予算を抑えたい場合は、角度調整機能やカスタムボタンを簡略化したM575SP(約6,000円)がおすすめです。静音クリック機能があるので、深夜の作業でも家族に迷惑をかけません。電池も18ヶ月持つので、煩わしい電池交換の回数が少ないのも嬉しいポイントです。

ただし、トラックボールも結局は人によって合う合わないがありますし、作業によってはマウスの方が使いやすいこともあります。世間で勧められているから無理して使い続けるというよりも、自分の身体に合ったアイテムを試行錯誤して試していくという感覚が大切です。

分割型キーボードという選択肢

従来のキーボードには実は大きな問題があります。両手を内側に捻った不自然な姿勢での入力を強いられることです。これが手首の痛みや肩こりの原因になっているケースが多いです。

分割型キーボードなら、左右を自然な幅に離して配置できるため、肩の負担を大幅に軽減できます。さらに、各指に最適化されたキー配置により、指の移動距離も最小限に抑えられます。

弊社がオリジナルキーボードを作る理由

実は、弊社がカスタムキーボード作りを始めたきっかけも、まさにこの手首と肩の痛みでした。市販のエルゴノミックキーボードをいくつも試しましたが、どれもしっくりこない。特にアジア人の手のサイズに合うものが少なく、小指の短い人や逆に手が大きすぎる人にとっては使いにくいものばかりでした。

「それなら自分たちで作ってしまおう」

そんな思いから生まれたのが、弊社の分割型キーボードシリーズです。一般的なキーボード専門店では見つからない、日本人などアジア人の手に最適化された設計を心がけています。

Chocofi:シンプルで始めやすい36キーロープロファイルキーボード

Chocofiシリーズは、分割型キーボード初心者の方に特におすすめです。36キーという最小構成ながら、QMKファームウェアのレイヤー機能により、通常のキーボード以上の機能を実現できます。

弊社が特にこだわったのは、日本人をはじめとするアジア人の手に合う縦型スタッガード配置。小指の短い方でも無理なく届くよう、カラムスタッガーを強化しています。実際に使っていただいたお客様からは「小指の負担が格段に減った」「肩こりが軽くなった」という嬉しい声をいただいています。

Piantor Pro:よりカスタマイズ性を求める方に

Piantor Proシリーズは、より本格的にカスタムキーボードをカスタマイズしたい方向けのモデルです。36キーと42キーの両方に対応でき、段階的に移行することも可能です。

Raspberry Pi RP2040ベースのマイクロコントローラーを採用しているので、ファームウェアの書き込みも簡単です。プログラミングが好きな方なら、自分だけの機能を追加することもできます。

デスク周りのエルゴノミックアイテムを長期的な投資として考える

エルゴノミクス環境への投資は、確かに短期的にはコストがかかります。しかし、手首や肩の痛みで病院に行ったり、集中力が続かずに残業が増えたりすることを考えれば、決して高い投資ではありません。

特に30-50代のソフトウェアエンジニアの方々は、業界をリードしていく立場であり、これからも長くコードを書き続けていくはずです。今のうちに体に優しい環境を整えておくことで、10年後、20年後も健康にプログラミングを続けられるはず。そしてなにより、いい道具は日々のQoLにダイレクトに繋がっていきます。

弊社のオリジナルキーボードも、そんな長期的な視点でソフトウェアエンジニアの方々のために設計しています。高品質な部品を使い、修理用のスペアパーツも用意し、長く愛用していただけるよう心がけています。

一度使っていただければ、その違いを実感していただけると思います。皆さんの開発環境がより快適になるよう、これからも改良を続けていきます。我々のオリジナルキーボードを、ぜひ手にとって見てくださいね。